2 インターネットの通信法

TCP/IPプロトコル群

 ここで、なぜ膨大な数のコンピュータやルータがひとまとまりの巨大なインターネットとして動くことができるのか。そこで重要な役割を果たすのが、アーパネットプロジェクトで開発されたTCP/IPプロトコル群(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)である。プロトコルとは、ルータやコンピュータが通信を行う場合の約束事、つまり、通信手順のことである。これは人間が会話をする場合に似ている。例えば、「おはよう」と挨拶されたならば、「おはよう」と返事をするのが普通だろう。「こんばは」と返事をするのはおかしいし、「◎×▲・・・!?」と返事をされたら何やらわけがわからなくなる。このような混乱がないように、プロトコルというものが規定されている。
 
インターネットを実現するためには、とくに相互接続を考慮して設計されたプロトコルが必要である。そのプロトコルをひとまとまりにしてTCP/IPと呼ぶが、TCP/IPは実に膨大な数のプロトコルから構成されている。このため、正確にはプロトコル群と呼ばれている。TCPやIPは、このプロトコル群のなかの根幹をなす部分である。

IP(Internet Protocol)
 
IP(Internet Protocol)とは、送りたいメッセージを正確に相手のコンピュータに送るための「手順」。相手のコンピュータはIPアドレスに従って見つけられる。送りたいメッセージにIPヘッダ情報が追加され、これはIPアドレスを含んでいる。IPアドレスはインターネットに繋がっている全世界中のコンピュータの識別番号でNIC(ネットワーク情報センター)に申し込み番号をもらう。このアドレスは4バイトから成り立っている。全部で、(2)=232=4,294,967,296=約43億のアドレスが作れる。

 

TCP(Transmission Control Protocol)
 
TCP(Transmission Control Protocol)とは、メッセージ等のデータを幾つかの単位(パケット:束の意味)に分割し、相手のコンピュータに送る。そのとき、正確に前部のメッセージが送信されたかを管理する方法。パケットには分割されたメッセ−ジの長さ送信順序を覚えておくTCPヘッダ情報が付いている。受け取ると、「長さをチェック」して、合っていなければ、再度送信してもらう。また「順序をチェック」して元の順序に並替をする。

 

{ルータとDNSサーバ}

ルータ
 ルータとはインターネットの道先案内人である。ルータは、自律システム間でパケットを中継するパケット交換機である。インターネットでもっとも重要なのは、どこにどのIPアドレスを持ったネットワークが接続されているかという経路の知識をルータが持っていなければならないことである。まず、各ルータは一定時間ごとに自分に接続されているネットワークのネットワークアドレスを隣接するすべてのルータに通知している。次に、それを受け取ったルータは、それをまた自分の隣接するすべてのルータに通知する。このようにして、次々とネットワークアドレスの情報がインターネット全体に広がって行き、最終的には、すべてのルータがネットワーク全体の経路を学習する。ただし、実際には、すべてのルータが全世界のネットワークアドレスを学習する必要はない。そのようなルータは自分よりも知識の豊富なルータさえ知っていればよい。知らないネットワークアドレスが転送先になっているIPデータグラムを受け取った場合には、知識の豊富なルータに送って中継してもらえばよいからだ。つまり、たらい回しをするのである。これが、膨大な数のコンピュータやルータがひとかたまりの巨大なインターネットとして動くことのできる秘密である。

DNSサーバ
 コンピュータのあて先は、140.9.3.4のような数字なのでいったいどこにあるコンピュータかわからない。そこで、人間にやさしいアドレスにするために、人間用の名前(ドメイン名)をつけることにした。人間用のアドレスをコンピュータ用のアドレスに変換するための専用のコンピュータのことをDNSサーバという。内部に"電話帳"のようなものを持っており数字を名前に変換する。

@ホスト名:コンピュータに付けた名前(WWW:ホームページ提示用サーバ)
A部署名:部署ごとの名前(cc: computer center)
B組織名:組織に付けた名前(kamatahoiku:蒲田保育専門学校)
C組織種別:組織の種別を表す情報(ac:学術)
D国識別:国を表す情報(jp:日本)

ドメイン名の命名規則(上記は架空のアドレス)


組織種別一覧

 

{通信媒体と通信規約(RFC)}

通信媒体
 
まず、構内を結ぶローカルネットワークは、メタルケーブル又は、光ケーブルが使用され、それに複数のコンピュータをハブ(HUB)と呼ばれる集線装置をかいして接続する。一般に使用されているもので、10Mbps又は、100Mbps(光ケーブルは1000Mbps)の転送スピードを持つ。この、bps(Bits Per Second)とは通信回線などのデータ転送速度の単位。ビット毎秒。1bpsは1秒間に1ビット(0、1の2進数の1桁)のデータを転送できることを表す。1kbps(1キロbps)は1000bps、1Mbps(1メガbps)は1000kbps(100万bps)である。アナログモデム(普通の電話回線を使用)の最高速度は56kbpsISDNの最高速度は128kbps、10Base-TのEthernet LANの最高速度は10Mbpsである。
 最近では、インターネットへの接続は高速な光ケーブルが普及しつつあるが、まだまだツイストペアケーブル(より線対のケーブル)の専用線接続又は、電話線(アナログ回線、ISDN回線:接続の際は、ともにプロバイダーと言われる接続代行サービス業者のサーバを介して利用する)を使用したダイアルアップ接続(おもに個人向け)が主流である。
 余談ではあるが、政府の「バーチャル・エージェンシー」計画で光ケーブルの整備がうたわれていることから、将来身近に光ケーブルがくる日も近いであろう。なお、光ケーブルの搬送研究レベルでは、その転送速度は4Tbps(1000Gbps=1Tbps)と報告されており、更なるマルチメディア化による大容量データの搬送に期待が持てる。

通信規約(RFC)
 インターネットには、さまざまな組織が加入しているため、そこで使用している装置の製造元もばらばらである。では、異なった製造元が、どうやって同じプロトコルを実装できているのだろうか。それは、RFC(Request For Comments)と呼ばれるTCP/IPのプロトコルを規定した仕様書のおかげである。この使様書は無料で配布されているので誰でも手に入れられることができる無料というのには、わけがある。TCP/IPプロトコル群の研究開発を行ってきた人たちは、どんな人でも仕様書を手に入れることができ、標準を知ることができるのが重要だと信じているのである。このおかげで、TCP/IP が現在のように広く採用されるようになり、事実上の標準となった。
 プロトコルの仕様を決めて仕様書を書くのはTCP/IPのプロトコル群の研究開発を行う研究者やエンジニア立ちなのだが、彼等は、開発者でもあるとともにTCP/IPプロトコルの利用者でもある。このため、一度決定したプロトコルをそのままにしておくのではなく、実際に使用してみた経験をもとにさらに改良を重ねていく。また、インターネット上で動く新しいプロトコルも次々と作っている。このようにして出来あがったプロトコルには、それぞれ異なったRFCの番号がつけられている。例えば、TCPはRFC793である。しかし、前のプロトコルが消滅するわけではなく、歴史的なプロトコルとしては以前のRFCの番号は変更されない。このため、RFCの番号は増える一方である。現在(2000年1月)ではすでに2700番を越えておりまもなく3000番に入る。ここで、なぜRFCなどという奇妙な名前がついているか不思議に思った方も多いことだろう。これには歴史的な経由がある。
 RFCという名前には、アーパネットの研究開発を行うときに、その研究者たち(BBNの研究者と大学院生たち)がミーティングの議事録に対して最初に名付けたものである。そこでは、ここに書かれていることに対して誰でも意見を言うことができ、ここに書かれているものが正式なものとは限らない、という意味でRFCが使われたのである。つまり、議論をしている内容がこのメモに書いてあるのでコメントをください、という意味なのである。実際、RFCには、プロトコルの仕様だけでなく、いろいろなアイデアや議事録なども含まれている。
 しかし、昔と違い、いまでは気軽にRFCとしてプロトコルのアイデアを出せるというわけではなくなっている。まず、RFCとしたいドラフトを提出し、それに興味のある人が集まって議論をし、合意が取れてからドラフトにRFCの番号が与えられる。この標準化の作業は、インターネット学会ISOC(Internet Society)の配下の組織であるIETF(Internet Engineering Task Force)の仕事である。IETFには、たくさんのワーキンググループがあり、ここで新たなプロトコルの議論が行われる。


RFC 1 の一部

ここをクリックすると全文が閲覧できる(JPNIC RFC-JP

 

 

 

 

   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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